「狼さんは、何が好きなの?」
「何、って……」
君、とか言えない。
というか何なんだ、突然。
「あ、食べ物とか」
一人焦っていた俺は、付け加えられた言葉にホッと息を吐いた。
紛らわしいな、もう……。
「食べられたら、何でも」
「えっ。……ふぅん、そっか」
何やらブツブツ呟く彼女を見ると、パッと笑顔になった。
「私、今日はもう帰るねっ」
「え、あぁ…」
いつもより一段と早く帰っていく彼女の背を見送る。
……狼の名が泣くな。
とりあえず、今はまだ何も言わない。
―――…
次の日、いつもの時間になってもあの子は来なかった。
何かあったのか?
もしかしたら、見た事ないけど他の狼に食われそうになっているかもしれない。
あるいは熊か。
心配で堪らなくなって、気がつけばあの子の家へ走っていた。
無事でありますように、と柄にもなく願いながら。


