今日もまた、あの子が来る。
赤い頭巾を被った、あの子が。
「こんにちは、狼さん♪」
無邪気に笑って、いつもそう言うんだ。
初めて会った時から、ずっと。
初めて出会った時は食べてやろうと思ったのに……一点の曇りもない笑顔に、いつの間にか惹かれている。
「君も、毎日暇だな」
今日は果物の入ったバスケットを持っていない。
という事は、お婆さんの見舞いで来たのではないようだ。
「今日はクッキー焼いたの。食べる?」
彼女はたまに、こうやって俺に会いにきてくれたりする。
本当は、すごく嬉しい。
けど、言わない。言えない。
「……食べる」
だけどこの子の時間を少しでも独占出来ているから……それで、満足だったりする。
クッキー、美味いし。
「美味しいー?」
「……まぁまぁだな」
でもやっぱり言わないんだ。
彼女が「もー…」と言って頬を膨らませるのも、可愛いから。


