恋・光る

 聖夜に追いついた私は、遠慮がちに、声をかけた。
「ねぇ、のえる」

「何だ?」
いつにも増してのんびりと答える彼。
 なんとなくわざとらしい。

「あのアキラ君って人、誰だったの?」

 訊かれたくないことだったらしく、聖夜は目を伏せた。

「あ、ごめんね。言いたくないことなら、いいんだ」
あわてて言う。
 しかし聖夜は、顔を上げて口を開いた。
「いや、話したほうがいいよな」
 聖夜は微笑んだ。

「あいつは俺の、小学校の頃の同級生。俺はあいつに……」
聖夜はそこで言葉を切った。しかしすぐに決心したように話しだした。
「俺はあいつに、いじめられていた」
 
「嘘……」
私は思わず呟いていた。
 
 こんなに優しくていい人の聖夜が……いじめに?
 そんなの信じられない……

「嘘じゃないよ」
そういって笑う聖夜の顔が、心なしかゆがんで見えた。

「嘘じゃない。俺はクラスで一人ぼっちで、あいつはいじめの首謀者だった」

「でも。聖夜はいじめられるような人じゃない」
私は反発する。

 でも聖夜は首を横にふって、
「これが真実なんだ。偽りのない、俺の過去……ごめんな。こんなやつの彼女、嫌だよな」
弱弱しく笑った。

「嫌じゃないよ……嫌じゃないけど、信じられない……」
 それだけ言うのに精一杯だった。