恋・光る

「!?」
 思わず息を呑む。

 聖夜の瞳は、鋭い光を放っていた。綺麗な目がアキラ君を睨んでいる。

 アキラ君が、ふっと笑った。
「のえる、お前、不良になったそうじゃねぇか」

「ああ。だからなんだ」
 聖夜が吐き捨てるように言うと、アキラ君はいきなり、聖夜に向かって手を伸ばした。
 そのまま聖夜の制服の襟をわしづかみにする。

「生意気なんだよ」
「はぁ?」
 アキラ君の手を振りほどいた聖夜。アキラ君を小馬鹿にしている様子だ。

 やめなよっ。アキラ君、怒ってるみたいだよ。
 心の中で呼びかけるけど、聖夜に伝わっている様子はない。

「お前、何様のつもりだよっ」
 アキラ君が怒鳴る。明らかに不機嫌そうだ。

 私は聖夜に目線を移した。
 ……こちらも不機嫌そう。

 
 そのままこの場を覆う重い沈黙。
 
 
 ……最初に口を開いたのは、聖夜だった。
「それはこっちの台詞だ」

「は? 誰に向かって口聞いてると思ってんだ」
 アキラ君は負けじと言い返す。が、聖夜はそれには答えずに、
「生意気だ、何様だ、 お前、それ何のつもり? 不良だと?だからどうした。不良なんて全然ほめられたもんじゃねぇ。素直になれずに何にでも反抗して。そんなやつが威張っていいと思ったら大間違いだ」

「何言ってんだ、てめぇも不良だろ?」
 完全に怒っているアキラ君。
 そして同じく怒りのオーラを放っている聖夜。
「俺だって威張れねぇよ。それは俺が一番よくわかってる。でもな、素直になろうとかそういう努力もせずに、逃げてばっかりいるお前は、もっと最低だと思うよ」
  
 アキラ君の目の色が変わったのがわかった。

「俺は素直になりたいと思ってるよ。少しだけど、がんばってるよ。でも、お前は違う。目をそむけてる。な、自分でもわかってるんだろ」
 聖夜の目の色も、変わっていた。


「もえぎ」
 聖夜が優しく、声をかけてきた。
「行くぞ」

 呆然と立ち尽くすアキラ君と、すたすたと歩いていく聖夜。
 二人の姿を見比べ、私はゆっくりと、聖夜のあとを追った。