「ここはルナーレ村だって言ったよな」
「はい」
「じゃあこの村にデリトという老人は?」
「村の外れに住んでる」
漸く気持ちも落ち着いてテスと名乗る村娘から倒れた後のことを聞き、安堵とも諦めともいえるため息が溢れた。
(だけど、漸くたどり着いたんだ)
「それにしてもこんなに傷だらけでどうしたの?」
「…ちょっとね」
「それに、あの時間帯に森の中にいるなんて。
まだ黄昏時だからよかったけどもう少し暗くなったらモストがでるんだから」
「モスト?」
「知らないの?《人成らざるもの》通称most」
人成らざるもの、その言葉を聞いて歓喜に満ちていた頭が急激に覚めていくのがわかった。
「魔王のてさ「ちがうっ!」」
驚いた表情の彼女が見えたけどそんなの気にしていられなかった。
《人成らざるもの》が魔王の手先?違う、違う違う違う!
「違うんだ…!」
『大好きよアル』
→不変の定め
