『大好きよアル』
遠い昔に言われた言葉、優しい笑顔とともに君が愛をくれた。
ねえメル、まって、お願いだから。
「…め、る…、っ」
暗かった闇ごしに感じた光にいつの間にか閉じていたらしい瞼を開くと、不躾に飛び込んでくる強すぎる光に思わず声がこぼれた。
「あ、起きました?」
「!」
隣に立っていた人物に話し掛けられて肩が跳ねた。
(…気付かなかった)
うかつだった、慌てて寝ている体制を整えようとするとグニャリと視界が歪んで体制が傾き、先程声を発した、…多分女だろう、にもたれ掛かるようになってしまった。
「あっまだ無理しないでください」
「っ、ここは…」
「ここはルナーレの村ですよ」
ルナーレ、その言葉に女の顔を仰ぎみた。血色のいい肌に明るい赤毛、まるで光に愛されたような娘だった。
「あの、大丈夫ですか?」
「…どうして、俺は」
「昨日家の前で倒れたんですよ。
だから家に運んだんですけど…」
「…昨日」
丸一日中寝ていたのか、俺は…、心配そうに俺の顔を覗きこむ女から顔を反らす、この光は強すぎる、まるで目が焼けてしまいそうな感覚に陥って瞼をとじた。