「また来るねデリトじいさま」



すっかり日も落ちて辺りは夕日の赤に染まっていた。もうすぐ闇が支配する夜になる、夜は嫌い、人ならざるものがたむろう時間帯。

人が惑わされる刻限。



「気をつけて帰るんだよ」


「はあい」



ギィギィと軋む扉を開けて外にでるとやはり辺り一面赤に包まれていた。

さわさわとまるで樹達が囁きあっているかのように揺れ動いている。



―――たそがれどき



ぞくり、と背筋を冷たい風がなぜる。

なんだか違和感を感じて服を握りしめた。

空になったバスケットを抱えて家への帰路を辿る、いつもと同じ道、いつもと同じ風景、いつもとおなじ緋、



(あか…?)



―――そうだ、いつもはこんな緋じゃない。いつもは、寂しくて、だけどどこか優しい赤色なのに、それなのに今日は、



(ちがう)



こんな血を溢したようなあかじゃない。