小さい頃から何度も何度も聞かされて来た言い伝え。
だけどそれがただの言い伝えでないことくらい私にだってわかる。
《魔王》を倒そうと息巻いた勇者と名乗る人達は必ずこの村に立ち寄る。
この村には魔王の城に行くための道筋を知っている人がいる。
人ならざるものに惑わされないように正しい道を示してくれる、もう老いた人だけど。
「デリトじいさま、薬持ってきたよ」
村の外れにあるこじんまりとした小屋、
そこにデリトじいさまは独りで住んでいる。
「テス…いつもすまないね」
にっこりと弱々しく笑いかけてくれるじいさまはとても優しくて私は大好き。
村の人はあんまり近付くなって言うから普段は薬を届けにいくくらいしかここにはこれない。
本当はもっともっといっぱい来ていろんなお話を聞きたいんだけど…。
「今日は何の話を聞かせてくれるの?」
「そうだね…」
