「まだ、殺しはしない」
いつの間にか剣は彼の手から消えていた。
「お前には、聞きたいことが山ほどあるんだ」
「…それは、《メル》のことかい、アルフレート」
「――気安く僕らの名前を呼ぶなッ!!」
ビクッと鬼気迫る雰囲気の彼に肩が跳ねる。
…《メル》あの日、彼が最後に呟いた言葉…。
ハアハアと息を整える彼はキッとデリトじいさまを睨む、その彼の顔が、何故だか悲哀に歪んだ気がした。
「あの城への道筋を教えろ!」
「――それはできないよアル。
君は、勇者になる気はないんだろう」
「勇者だなんてヘドがでる!
俺は、彼女を取り戻すだけだ、そのためなら何だってしてやる」
「ならば尚更君を行かせるわけにはいかない」
「どうして!」
「――《悪》は必要だからだよ。変わることのない、定めだ。
メリエルはそれを理解している、だからこそ、あの子が必要なんだ」
そう言って、デリトじいさまは悲しそうに微笑んだ。
→悪という真実
