「デリトのところに案内しろ」
先程の雰囲気から一変し、まるで凍てつくような視線を私に向ける少年。
固まって何も言えない私に舌打ちをすると何処から出したのか、彼の右手に大剣が握られて、その切っ先は、私の、首へ。
「殺されたいのか」
そんなわけないと叫んだけどそれが私の口から言葉としてはでてくれなかった。
嗚呼、あの時と一緒だ、彼に会った時の、あの本能的な、恐怖だ、
「あ、あなた、魔王を、たおしてくれ、る、勇者じゃないの?」
今までこの村に訪れてきた人は皆自分こそが勇者だと、誰もが言っていたのだ、悪を、魔王を倒してみせると。
「…勇者?勇者なわけないだろ、あんな偽善者共と一緒にされるだなんて、――吐き気がする」
忌々しそうに吐き出された言葉は、正義だという勇者や人間を、この世界を全て否定し拒絶するものだった。
