小さく指を動かすと、命を持ったように闇が彼女の指先を包み、傷を癒した。
「ありがとう」
元通りになった指先を見つめ、小さくそう囁いた。
「ここには私と、貴女だけです」
「…そう、きっと気のせいね」
「さあもう城へ戻りましょう。ここへ来るのならまた明日、もうすぐ朝になります」
小さな少女の手を優しく掴みやんわりと促す、少女は諦めたような、すこし困ったような顔をしながらそれに従った。
そう、ここには誰もいない、貴女を傷つけるものも、貴女を愛するものも、私以外には居はしない。
「大丈夫、大丈夫ですメリエル様」
心配しないでください我が王、
「私がずっと、お側におりますから」
「ありがとう、ウィルヘルム」
『大好きだよメル』
Dependent loyalty
(依存的忠誠)
