「なぁ、風桐くん。お友達に金貸してくれないかなー」
「え、あ・・・あの」
「いいじゃん。俺たち友達だよな?」

三つの人影が、一人の少年を囲んで
なにやら、平和ではない話をしている。

「で、でも・・・」

少年は、胸元にかばんを抱え
ながら、戸惑いがちに言葉を発した。
しかし、そんな行動が気に入らなかったのか少年を囲っていた三人の内の一人が大きく拳を振り上げた。

少年が覚悟を決め、目を硬く閉じたその瞬間

「コラーッ!!あんたらまた性懲りもなく弱いものイジメしてっ!!
相手なら、あたしがするって言ってるでしょっ!!」

長い黒髪をひるがえして
竹刀を片手にもったポニーテイルの少女が、三人に向かって叫んだ。

「げっ!!楓だ。お前ら逃げるぞ!!」
「え・・・・?」

恐る恐る少年が目を開けてみると
不良たちが疾風のごとくその場を去っていく。
そんな光景を目の当たりにした。

「大丈夫?」

まったくあいつらは、弱いものばかりして・・・と、ぶつくさ文句を言いながら
何があったのかわからないという表情で固まっている少年に手を伸ばしながら、少女は微笑んだ。