「お兄ちゃん」

陽のあとに出てきたのは奏君。

「陽ちゃん、いつも奏と遊んでくれてありがとな」

そういって陽に笑いかける楓矢。

「奏君ってあんたの弟だったんだ」

初めて知った。

「バイバイ、陽ちゃん」

そういって手を振る奏君に振り返した陽は帰ろ、と腕を引っ張った。

「じゃあな、茜」

私の背中に言葉をかける楓矢。

「バイバイ、楓矢」

私は少し大きめの声で言ってみた。