私の前に座った周ちゃんは
尚哉くんと話をしながら
何度か窓の外の海を眺めることがあって。
 
きっと周ちゃんには
私の知らないことが
数え切れないほどあって
 
その心の中に
何かを抱えているんだって
見ていて思った。
  
 
 
―知りたいと思うのは
 
わがままだよね。
 
 
 
「美桜」
 
周ちゃんが私を呼ぶ。
 
 
「ん〜?」
 
「それうまい?」
 
 
周ちゃんは
私が食べているチョコケーキを
指差した。
 
 
「うまいよ〜♪」
 
 
「一口ちょーだい」
 
 
 
そう言ってすぐに
周ちゃんはケーキにフォークを入れた。
 
 
・・・これって微妙に
間接キス?(笑)
 
 
一度考えちゃうと
すっごい恥ずかしい。
 
 
・・・でも
 
「うめ〜」って幸せそうに笑ってる周ちゃんを見たら
 
そんなこと
どうでもよくなっちゃったんだ。
 
 
こんなふうに笑ってくれるなら
ケーキなんて
いくらだってあげるよ。
 
 
 
その後尚哉くんが
「周大は甘いもの
大好きなんだよな♪」って言うから
 
私と亜未は意外で
しばらく
笑い続けた。
 
 
 
―この時間を
大切にしよう。
 
今周ちゃんと一緒にいることを
大事にしよう。
 
 
なにを考えてるのかなんて
私には全然分からないけど
 
周ちゃんは今
ここにいるんだから。