きみ、ふわり。



 だってさ、初対面でいきなり『抱いてください』はどう考えても可笑しいだろ?

 飼っている子犬とか。
 生まれたばかりの赤ちゃんとか。

 その類のものを『抱いてあげて』ということなら、まだわからなくもない。
 例えそれらが、俺にとって縁もゆかりもないものだとしても、だ。


「え……えーっと」

 両手で口を隠したまま、長い天然ものの睫を伏せて口ごもる彼女は、何とも可愛らしい。

 彼女が望むなら――
 抱いてやらないこともない。


『穴があったら入れたい』


 これ、俺のモットー。