君が好きにならなくても




「百合子を最初見かけたとき、中庭のベンチで桜の木を眺めてたんだ…。その百合子の表情に惹きつけられて、話しかけようと近づいたら――――百合子、走って逃げちゃってさ……。


ネクタイの色が赤で3年。同じ学年なんだとは確認したけど、名前もクラスも聞けなかったから、次の日ひとつずつクラスを回って百合子を探したんだ―――」




優也が言っていることは、始業式のあの日のことだ。



あの日の放課後、確かに私は中庭にいた。そして、私に話しかけた人がいた。



でも私は注意するため近づいた先生かと思い、顔も見ずに俯いたまま中庭を離れたんだった。




「きっと――。一目惚れだったんだろうな……」