「先輩……」 「ん?」 「私ね、知ってしまったんです」 彼女と寒空の下、屋上で話すのが日課になりつつある11月下旬 彼女の次の言葉に、聞かなければよかったと後悔した。 「加藤先輩の好きな人、隣町の青葉高の二年の子なんですって」 「え?」 「なんでも、中学が同じだったみたいで、ずっと好きだったらしいんですよ」 中学の時の同級生…… 「え〜と、確か、小泉さんって子……」 目の前が暗くなった気がして、彼女の声も何も聞こえくなかった。 彼の好きな人 青葉高の小泉さん……