家に帰って適当にご飯を済ませる。


塩焼きの焼き鳥をつまみに片手には缶ビール。


高校のときのジャージを着て大好きな野球中継を見る。


こんな姿を見られたら100年の恋も覚めるだろうな、と思うけど幸か不幸か、見せたい相手がいないしな。


充電している携帯が着信を告げる音を鳴らした。


「もひもひぃ~」


焼き鳥を食べながらだから上手く喋れない。


『もしもし。七穂?今……って、あんた何か食べてるわね?』


「はふがまひ……。ッン……さすが真知。よくわかったわね」


『何年あんたの親友やってきてると思うのよ。お願いだから愁さんの前ではやらないでね』


「愁はあたしが何しても気にしないよ」



あっ、ヤバい。自分で言ってて悲しくなってきた。


「それよりどうしたの?」


『えっ、あぁ。明日夜暇?』


「明日?大丈夫だよ」


『久しぶりにご飯食べ行かない?場所は駅前の三日月でいい?』


「三日月!?行く行く!!」


三日月は駅前の小さな居酒屋。


陽気な旦那さんと美人な奥さん夫婦で切り盛りしているお店だ。



『じゃあ19時に三日月で』


「わかった。じゃあね」