水野君が作戦を話終えた。
「それいいじゃん!」
「あたしも了の案に賛成よ」
「だな」
真郷君、知砂ちゃん、田倉君の順に賛成する。
もちろん、黒崎君も賛成した。
そして、決行は明日に決定した。
作戦?会議で3限目は終了し、私は教室に戻るらなきゃいけなかった。
だけど、教室には戻る気がなくて…憂鬱になっていく。
「星名?大丈夫か?」
心配そうに私の顔を覗いてきた黒崎君。
私は慌てて笑顔を取り繕う。
「あ、う、うん。大丈夫」
今の私はちゃんと笑えてるかな?
「星名、顔が青いし無理すんなよ?」
黒崎君は本当に優しい。たぶん私のことを心配してくれるのは本心のことだろう。
大丈夫だよって言おうとした時、水野君に遮られた。
「あ、爽歌さんー。これにちょっとサインしていただけますか?」
どこからともなく一枚の紙を取り出し、私にそれとペンを渡す。
ここにサインしてくださいねとサイン場所に指をさし、
言われた通りに素直にサインしてしまった。
(って、今の何の書類なの!?)
もう一度確かめようと紙を取ろうとした時、すでに水野君に持って行かれた。
「これで後はハンコを押せばいいだけですねー」
え?ハンコ?
ハンコなんてものを当然常備しているわけでもないので。
「えっと…あの…み、水野君?」
「はい?何ですかー?」
私の言おうとしていることを読み取ったらしく。
「あ、大丈夫ですよ。その点に関しては事及びませんからー」
と笑顔で言ってきて、ほらと木のハンコを見せてきた。
そのハンコは『星名』という文字が彫られていた。
「あのー、なんで星名と彫られているのでしょうか?」
「それは爽歌さんの判子ですからー」
水野君は当然だろという風な口ぶりで言ってくる。
というか、私が質問したいことはそんなことではなく!!
「何で、水野君が私のハンコを持っているんですか!?」
それが不思議でならない。
「え?当然じゃないですかー」
何も悪気もなさそうな無垢な感じで答える水野君。
当然じゃない!と突っ込みたい。


