【完】想うのはこれから先も君ひとり

杏莉は辛かったんだよな


誰も頼れる人が居なくて


実際、俺もそうだったから杏莉の気持ちは痛いほど分かる


「杏莉?無理はするな」


「分かってるの。だけど身体が思うように動いてくれない。制御しようとしても出来ない」


杏莉は涙を流した


俺は杏莉の涙を制服の袖で拭う


「本当は他にもあるんだろ?」


「…えっ?」


俺の言葉に驚いている杏莉


「身体が思うように動かないこともあるけど本当は他にもあるんだろ?」


「どうして優斗君には分かっちゃうの?他の人は全く気づいてくれないのに」


“本当は辛い”って杏莉の顔に出てる


俺はそんな小さな異変すら見逃さなかった


ほとんど毎日一緒に居る愛花を見てきてるから大体分かるんだ


愛花と杏莉は似てるからな