【完】想うのはこれから先も君ひとり

「ちゃんとお礼言ったか?」


俺の問いかけに嬉しそうに頷く杏莉。


「優斗君ってたまに父親っぽくなるよね。」


「それは杏莉だからだな」


嬉しいことをしてもらった時には“ありがとう”とお礼を…


悪いことをした時には“ごめんなさい”を言えるようになって欲しいから。


それから、夕依を駅まで送った


電車で帰るらしい


「必要最低限の荷物は置いとくからな」


また、いつ来ても良いように。


「夕依、今度はあたしが遊びに行って良い?」


「もちろん。昔、瑠夏さん達が使ってたアパートに居るからいつでも遊びにおいでね」


電車の時間まで他愛のない話をして夕依は電車に乗り込んでいた


「行っちゃった…」


夕依が乗った電車が居なくなってそう呟いた杏莉


杏莉の大きな目からは涙があふれていた。