【完】想うのはこれから先も君ひとり

「杏莉、愛花に会えて嬉しかったか?」


優斗君はあたしを支えるために手を握ってくれた


「うん。愛花と居るとね、落ち着くの。」


「良かったな」


ポンポンとあたしの頭を撫でてくれる


「優斗君、ごめんね。付き合わせて…」


「気にすんなって。それよりさ…」


優斗君は足を止めてあたしの目線に合わせる


周りには誰も居ない


「俺のこと、“優斗君”じゃなくて“優斗”って呼んで?」


「そんな急には呼べないよ…」


そんなあたしに優斗君は“ゆっくりで良いよ”なんて言ってくれた


優斗君の優しさに胸が高まる


「杏莉…?」


誰かに呼ばれて振り返る


そしてその人の顔を見て優斗君に隠れてしまった


「杏莉、どうした?」


優斗君は驚いたようであたしの異変にびっくりしていた