「香乃子ごめ〜ん。
電話かかってきちゃってさあ。」

もう、マイペースなんだから!

「行こ!一番前、
取られちゃってるかもしれない。」

ライヴハウスの入り口で
急いでチケットを出して
足早に中に入った
扉を開けると
お客さんで埋まってはいたけど
隙間をぬって行くと
前から2列目まで
なんとかたどり着けた

「なんとかよく見えるね。」
「よかったー。純哉に頼まれて
デジカメ撮らなきゃいけないの。」
映奈がバッグからデジカメを
取り出す。

私は
まだ明るいライヴハウスの中の
お客さんを見回した

同年代の
女の子達と
バンドが好きそうな男の子達

その時

「レイアの爪、可愛い〜!」

私のすぐ前
最前列の真ん中あたりで
それは聞こえてきた。