拓郎は銀子から見るとまだ幼さが残っているようにも見えますが、愛嬌がありながらも落ち着いた雰囲気です。




年の差があるから構えずにすんだようで、銀子は美味しくカクテルをいただくのでした。




「あの、銀子さん……ですよね」




「? 私の名前、知ってるの?」




「たぶん従業員みんな知ってますよ。
 今日は…持田さんじゃないから違うのかな? 酔いっぷりが」




“酔いっぷり”……そうか、私の酒癖の悪さは店中に知れ渡ってるんだね……、と銀子は酔った頭でボンヤリと考えました。




「ふふっ、やだ…恥ずかしいな…。
 あんまり言わないでね…」




拓郎は少しボーッとしていましたが
「銀子さん、コレ…僕の名刺なんですけど」
と緑色のカードを渡してきました。