「な、は、なな、何して・・・・・!!!」


「良いんですよ、凱那さん。」


優しく包むような声が響く。

そっと体を離され、淡い茶色の瞳が私を見つめた。

その中に映る私は、眉を下げ、唇を噛み締めている。


「・・・・・泣いたって、良いんですよ。・・・・・・貴女は、強くて美しい。」


「な・・・・・・!!」


羞恥で肩を強張らせた瞬間

ぼろ


と、膜を張っていた涙が衝撃で目から溢れた。


「・・・・弱い凱那さんも、全部教えてください。」


希彩は涙が伝った跡のある、濡れた頬を優しい手つきで撫でる。

そして私をもう一度強く、でも柔らかく包むように抱き締めた。

希彩は身長が凄く高くて、私のおでこくらいに肩がある。

だから涙で濡れている私の顔は、希彩の胸に押し付けるような形になって・・・・


母親に抱き締められるような温もりに安心してしまい、気が緩んでしまった。


「・・・・な゛、によ~~・・!希彩の、グス・・・っくせにぃい・・・・!」


気が付けば、私はわあわあと幼い子のように咽び泣いていた。

その間、希彩はただ静かに抱き締めてくれていた。



「む、・・・無理だ、って・・わか・・・っ!でも、やっぱり、・・悔しっ、て・・・」

「はい。」


「も、情け・・なく、て!こん、こんな・・・・・!うぅ~・・・・!」


「はい。」


「き、きい・・ろもっ・・さ、な、んか違う・・・し・・!ずる、い゛よ・・!」


「はい。」


「~~~~っ・・・!うぁ~・・・・ふぇ~・・・・!」

顔を手で覆い、希彩の胸に押し付ける。

ぎゅ、と希彩は抱き締める腕に僅かに力を込めた。





「・・・・・そうです。僕は、とっても狡いんです。」