「え・・・・・・!」


私がそう聞くと、彼は一瞬傷ついたように顔を歪める。


「・・・・?」


「・・・・・・覚えて、ない・・・か・・・」


顔を俯かせ、何かぼそりと呟いた気がしたけど、次の瞬間


ガシリ


「やっ・・・!」


肩を強く掴まれて、彼の顔がぐっと近づけられた。



「好きなんです!凱那さんが好きで好きで好きで好きで好きで好きで愛してます!僕は全てを凱那さんに捧げると誓いました。だから僕も凱那さんの全てが欲しいんです!」


「・・・・な、何言って・・・」


「だけど、もし凱那さんが僕と付き合えないと言うのなら」


な・・・・何、するの・・・?


彼は片方の手でポケットを探ると、何かを取り出した。


それは



「ひ・・・・・!!や、いやっ!」



鋭く光る、ジャックナイフ。



一瞬で背筋が凍り、頭の中を警鐘が激しく響く。




「あ、す、すみません!こ、怖がらせてしまいましたね。大丈夫です。決して、凱那さんを傷つける訳ではありません。ほら・・・」


「ひっ!な、・・・いやっ!」


そっと手を、一回り大きな両手で包まれて、至極優しく刃物を持たされた。



「僕を、殺してください。」


「・・・・・・へ・・・!?」


そして、刃物を弱々しく持っている私の手を、彼はゆっくりと自分の首元に持ってきた。


「や、な、何!?何してんの!?」


「・・・・・凱那さんが僕と付き合えないのでしたら、どうか僕を殺してください。
この先、僕以外の誰かと貴方が付き合う処なんて僕は見ていられません。嫉妬で気が狂ってしまいます。
貴方がいらない僕は、僕自身もいりませんから。」


「さあ」と、私の手を押さえる彼の手に力がこもる。

肌に、ナイフが押さえつけられ、そのまま・・・・・