「まずは化粧水を叩き込んで美容液と乳液で肌のコンディションを整える。」



チカは頷きながら、ケンの言葉1字1字をノートに書き取っていく。



「次はベース作り。下地とファンデーション…。これは必ず中指・薬指・小指の3本を使って塗るコト。」


『人差し指は使わないんですか?』


「人差し指は力が入り易いからメイクされる側にしてみれば、肌への当たりが強く感じてしまう。」


『なるほど〜。』


「それじゃぁウィッグにやってみな。」


『はい!』



チカはファンデーションを手に取り、塗り始めた。



「塗り方は悪くはないけど遅いし、スポンジの使い方がなってない。」


『難しいですね…。』


「指は素早く動かす。かと言って力を入れる訳じゃなく、柔らかく滑らかに…。」


『はい!』



真剣に答えるチカ…。




「スポンジの使い方は塗る感覚じゃなくて、細かく叩き込んで毛穴を埋めていく感じ。」


『あぁ!』




じゃぁ次はアイメイク…。



女の子にとって一番力を入れたい部分。



アイシャドーのポイントは瞼の際から入れて少しづつ瞼全体にぼかしていき、グラデーションを作っていく。



こんな感じ…。




「じゃぁ1回ウィッグにフルメイクしてみよう。タイムは30分…。」



一瞬、チカは困惑の表情を見せたが頷いた後、小さく呼吸を整えた。




「はじめ…。」




チカがメイクをしている間、ケンは黙って色々な角度からウィッグを眺めていた。



無言の緊張は30分間続き、ケンの声と同時に解放された。



「はい…。止め。」



ケンはウィッグを細かくチェックしていく。



緊張の瞬間…。




「まだまだ練習は必要だけど、悪くない。」


『やったぁ!』



何んとかケンのチェックに合格したチカだった。