「でも、愛は違う。見つめ合うんじゃなくて、2人で同じ何かを見つめて歩んでいくコトなんだ。」


『そもそも愛って何なんですかね?』


「愛は誰もが手にできるもんじゃない。人を深く想う強い感情は恋…。どんなに強い想いでも通じ合わない限り、愛ではなく恋なんだ。」



私がしていたのは、ただの恋…。



恋に焦がれる恋…。




「でも愛を知る人は決して、それを語りはしない。」


『なぜですか?』


「人から聞いた愛の答えに何の価値もないから…。自分の力以外で手に入れた愛の答えに何の意味もない。だから、愛の答えは自分で見つけるしかないんだ。」



愛…。



そんなモノ、見つけるコトができるのかな…?



「ケンのコト…。好きなんだろ?」


『はい…。でも、嫌われてる気がして…。』


「人ってさ…。恋愛に限らず、人は歳を重ねる度に臆病になっていくんだ。今までの経験が仇(あだ)となってな。」


『…。』


「でも、忘れるな。臆病って絶対に治る病気だから…。」



マサキさんの言葉が折れかけていた心に勇気をくれた。



そして私の心に降り続けていた雪は止み、強い決心が生まれた。