そんなことを一人で勝手に考えていたら、
「おい…。」
低い声がまた聞こえた。
声からして、さっきの“鬼”発言にお怒りのようだ。
これ以上怒らせない為に、一応返事をしておこう。
「はい、何でしょう。」
「お前…何でここにいる?」
何でって………、
「入学…したからでしょうか?」
この人は、意外とバカなのか?
てか、まず何でそんな質問をしたんだ?
「ちげぇ…。何でこの裏庭にいんだ?」
………。
ここ、裏庭だったんだ。
「静かで、寝やすそうだったんで……。」
「邪魔、どけ……。」
今のには、イラッときた。
えっ、何様??
……こいつに聞いたら、絶対“俺様”って言うな………。
取りあえず……ムカつく……。
だけど、言い合いになるのは避けるため、裏庭(?)の隅っこにある、大木に登った。
……不機嫌オーラ前回で、殺気バンバンに出しながら。
そん時の“鬼”、一瞬だけ肩がビクッと震えてた。
俺の殺気に耐えられるってことは………、
「やっぱりあいつ…、黒龍のか……。」
普通に言ったはずでも、やっぱり声が少し震えた。
“黒龍”という単語を聞くと、必ず思い出す。
誠也(せいや)との思い出と、
そして……、
自分の犯した罪を………。



