月の骨



 僕は山城を昔のように家に上げた。何も出せないけれど、と断った上で。

「構わない。お前と話が出来ればそれでいい。」

 山城は言った。


 リビングに通し、引きっぱなしだった遮光カーテンを久しぶりに開けた。日差しで、舞い上がった埃が目立つ。このところ、掃除機だけで本格的な掃除などしていないから、無理もない。

 山城は埃っぽさを気にするようすもなく、ただ、静かにリビングの様子を見渡していた。それから、ぼそりと言った。


「…朔夜さんは?」

「ここにはいない。」