心臓が脈打ち、いやな汗が背中を伝う。 居留守を使おうと、咄嗟に思った。でも、インターホンのチャイムは遠慮なく、立て続けに鳴らされる。 そこにいるんだろ?なあ、おい。そこにいるんだろ? 息をひそめても無駄だ。お前のことは、全てわかっている。 僕にはそう聞こえた気がした。いや、実際にドアの向こうで、誰かがそう叫んでいるのかもしれない。でも誰が? 僕の心当たりは、ただ一人きり。 山城だと思った。 僕は覚悟を決めて、玄関のドアを開けた。