「山だぁー!!」 旅館に着き、私は辺りを見てグルグル周りながら叫んだ。 いつもは海が中心だった旅行で、初めて間近で山を見た。 「癒杏も自分で持ちなさい!」 興奮さながら、お姉ちゃんにキャリーバックを渡され、自分でコロコロと、フロントを目指す。 荷物を預けたら、歩いて行ける、下町の風情が溢れる商店街に、観光に行くらしい。 お土産屋さん。 蕎麦屋さん。 お茶屋さんなどのお店が、たくさんあるんだって。 「貞包」 「はい!」 先生に呼ばれて、私は走って、先生の前へと行く。