蝉が騒がしく鳴き始め、今年最初の真夏日ですというアナウンサーの声を何度目か聞いた頃。

校内は期末試験と、三者面談と、待ちに待った夏休みとで、なんとも言えない妙な空気になっていた。

「今日暑い…」

試験一週間前から部活が休みになるため、小鳥たちは放課後の図書室で勉強することにした。

小鳥は下敷きを団扇代わりに扇ぎながら、うっとおしそうに顔に触れる髪を払った。

「冷房は夏休み明けからだから…」

「今から冷房入れたら、夏乗りきれないから…」

美魅と璃里は珍しく一生懸命ペンを走らせている。

相槌もそこそこに、今年一番かと思うくらいのやる気を見せている。

「…そんなに必死に写さなくても…」

「「ダメ!」」

「これがないと、試験無理。」

「これがないと、絶対無理。」