ピーッ

試合終了の笛が鳴り響き、バレー部員達はネット越しに握手をしてコートを出た。

「姉様、タオルどうぞ♪」

後輩が競うように渡してくれるタオルを一枚だけ受け取った。

「ありがとう。」

小鳥が優しく微笑むだけで、後輩達は顔を真っ赤にしながら騒いでいる。

小鳥は輪を抜け出してベンチに座った。

「お疲れ、小鳥ちゃん。」

上下ジャージ姿の璃里が、スコアボードを記入しながら言った。

バレー部のマネージャーである璃里は、スコアボードを記入するだけで、他の仕事は一切やったことがない。

璃里がやろうとすると後輩がやった後だったり、やらせないように先回りされていた後だったりする。