姉宮小鳥という人物は、昔から異様なまでに女子人気が高かった。

「姉様!」

トンッと弾かれたボールは、柔らかく弧を描きながらも勢いは消えていない。

「はいっ!」

軽いジャンプと素早い腕の振りで、ボールは鋭いスピードで相手コートに叩き付けられた。

「「キャー♪」」

小鳥の着地と同時に激しい声援が上がった。

「ナイス、姉様!」

ハイタッチをしたは、一年からレギュラーでコンビを組んでいる坂下悠里(さかしたゆうり)。

「悠里、姉様はやめてよね?」

「だって、ファンに睨まれたくないし?」

悠里はそう言うとスタスタとポジションに戻っていった。

セッターである悠里の身長は、高くはないが決して低いわけでもない。

ただ小鳥と並ぶと誰もが小さく見えてしまうだけだった。