………そーだ。


「お母さん!」


「ん~?」

 
お母さんは、たたんだ洗濯物を片付けていた。


「今日夕方の五時ぐらいにお兄ちゃん帰ってくるんだよねぇ!?」

 
「そうよー。三ヶ月ぶりかしらねぇ」


 
うちに、こどもは三人いる。

私と、優馬と、それからお兄ちゃん。


お兄ちゃんは今年の三月にうちの高校を卒業して、地方の専門学校へ行った。


なんか、難しい名前の職業目指してた。


向こうでボロアパート借りて、一人暮らししてるんだって。


だから実家(この家)に帰ってくるのは、二ヶ月に一度とか、三ヶ月に一度とか。

 
突然その日に「今日帰る」とか連絡してきて、いきなり一泊して、次の日帰ったり…………


まぁすごい気まぐれ………っていうか、

いいかげんなお兄ちゃんなのだ。


そしてこのお兄ちゃん、私に空き教室への特別ルートを教えた、張本人でもある。