どうしていいのかわからなくなって、結局私がした判断は、『食われる前に食ってしまえ』だった。
「………っ」
覚悟を決めて、彼の目を見る。
「…め、目ぇ、つむって」
そう言うと、彼は一瞬目を見開いたあと、ふっと笑って目を閉じた。
長いまつげが、視界に映る。
私はもう、頭から火を吹きそうなほど、キャパオーバー寸前だ。
なんだかもう、これは現実なんだろうか。
王子様はやっぱりドSだし、恥ずかしいし、嬉しいような、苦しいような。
でもでもやっぱり、気持ちはひとつしかないから。
私はそっと、王子様の唇に、自分のそれをあてた。
耐えられなくて、すぐ離したけど。
静かに目を開ける彼に、混乱する頭をどうにか動かして、口を開けた。
もう、どうにでもなれっ…!
「じゅ、純くんが、好きです!」
思わず、目をつぶってしまった。
恐る恐る目を開けると、そこには真っ赤な顔した彼の姿が。



