「…そうだね。待たせちゃってるんなら、行かなきゃね。がんばれ、色葉」

「うう……」

あれから大和とは、普通に話せるようになった。

噂のことはもう、お互い気にしないようにしよう、って。

私からも、その…純くんと話をしたあと、ハッキリと女の子たちに言うつもり。

今度こそきっと、戸惑わずに言えるはずだから。


そこで、四限目開始のチャイムがなった。

「う、わぁぁ」

「ちょ、ちょっと、頑張りなさいよ!ね!」

バシバシと、ミオが私の背中を叩いて、席へと戻って行った。

そ、そんなこと言ったって…!

斜め横に目をやると、大和が優しく「頑張れ」と言ってくれる。

私は両手を握り締めると、目を固くつぶった。


…そう。大丈夫、大丈夫!

信じてるんでしょう。

優しくて、少し無邪気で意地悪な、王子様のこと。

私、信じてるんだから……!