「色葉はほんと、馬鹿だよね」
少し震えた声が、耳元で響く。
「…うん、自分でも思う」
「でもさあ、僕はそれ以上に馬鹿なんだよね」
大和は私の顔を見ると、どこか晴れた顔で、笑った。
「なんか、すっきりした。我ながら単純だよね。でもほんとに、嬉しいんだ。ありがと、色葉」
…本当に、君は優しいね。
二年越しの私たちの恋は、実ることはなかった。
けれど、心の中で、大好きでした、と告げる。
きっと実っていたかもしれない、そんな未来が、あったかもしれない恋に。
少し成長した私達が、ありがとう、と言う。
「もう本当、最高。大和」
涙に濡れた目を細めて、目一杯笑うと、彼もいっぱいに目尻を下げて、笑い返してくれた。
「ありがと、色葉もね」
大切な、大切な初恋の君へ。
私のなりの大好き、うまく伝わったかはわからないけれど。
どうかいつまでも、優しい笑顔で、笑っていて。