大和は小さく笑いながら「あのね」と言う。

…あのとき、言えなかったことを、言うから。

どうか、もう一度。


「…僕と、付き合ってください」


あふれる涙を、許してください。

「……っぅ……ひっく…」

「泣くなよー」

ぽんぽんと、大和が頭を撫でる。

泣いてる場合じゃないのに。

言わなきゃいけないこと、あるんだ。

「大和…あのね…」

ぐっと上を向いて、涙を止める。

少し涙が引いたところで、ぐいっと袖で目元を拭った。

そして、彼を見据える。

真っ直ぐに、優しい目をした彼を。

二年越しの、想いで。



「…私の初恋は、あなたでした」


目の前の彼の目が、大きく見開かれる。

私はまた出そうになる涙を堪えて、言うはずだった『返事』をした。

「あのときは…大和のことどう好きなのか、自分でもわかってなかった。友達として好きなのかもしれないし、違うかもしれないって。だから曖昧な気持ちで、大和に返事を返したくなかった」

言い訳でしかない、私の切ない後悔の想い。

彼が許してくれるのなら、二年越しの私の初恋を、どうか、実らせてください。