階段を上がり、渡り廊下へ走る。


大和の背中を目にしたとき、ばっとかなり速い動きで彼がこっちへ振り返った。

私の姿にぎょっとする大和。

そして、一目散に走り出す。


「ちょっ………」


すぐに、大和の背中が遠ざかっていく。

…ちょっと。

もう、ほんと、そろそろ限界なんですけど。


私は手のひらをぎゅっと握り締めると、半ば睨みつけるように前を見た。


…もーーーっ!

怒った!!


「大和のどあほーーっ!!」

恐らく私史上最速なんじゃというほど、全速力で走る。

もう、もう、限界っ!追いかけっこ、限界っ!

私をナメるのもいい加減にしろーっ!!


廊下の壁で息つく大和の姿を見つけ、私は全力で階段を降りる。

彼はそれに気づくと、また逃げ出した。

今度は、逃がさないんだからね!