驚いて振り返った大和の顔を、じっと見る。


「お話が、あります!」


腰に手を当て、斜め前の席に座った大和に、びしっと指を差す。

ぎょっとしたように目を見開く彼はよたよたと席を立った。


私と大和の様子に、クラスメイトたちが訝しげな顔をして見守っている。

さすがに、この教室で話をする気はない。

けれど、人が見ている場で言った方が、大和も仕方なくでも私について来てくれると、思ったんだけど。


…どうやらその読みは、甘かったようで。


「…っ」

大和はガタガタと音を立てて、素早く席から離れると、走って教室を出て行った。

…えっ、ええっ……!

おっとりした大和にしては、異常なまでに素早い行動だった。

けれど、感心している場合じゃない。

大和をそうまでさせているのは、他ならぬ私なわけで。