「…色葉のくせに、生意気なことしてんなよ」

「なにそれ〜」

ふふ、と笑うと、純くんは私の頬をぐにっとつまんだ。

「い、いひゃい!」

「待っててやるから、その笑いやめろ!ウザい!」

ひ、ひどっ!

でも今、『待っててやる』って、言ってくれた。

やっぱり、優しい!


純くんの手を顔から離して、思わず笑ってしまう。

「ありがとう!」

彼は「うるさい」と赤い顔を不機嫌そうにしかめた。

「そんなに長い間は、待ってやらないからな」

「わかってるよー!嬉しい!ありがとう!」


…信じて、よかった。

純くんを信じて、伝えてよかった。


絶対、言うからね。

私の気持ち、言うからね。

どうかそれまで、王子様。


待っていて、下さい…






「大和!」


気合を充分にいれた私の第一声が放たれたのは、翌朝のことだった。