様々な視線に耐えながら、私は目指す教室へひたすら歩く。


…今日は、なにがなんでも、弱くなっちゃいけないんだ。

ミオは『ついていこうか』と言ってくれたけど、断った。

ひとりでやらなきゃ、ダメな気がするから。

ちゃんと私自身で彼と向き合わなきゃ、いけないから。


ぎゅぅ、と手を握りしめる。


目的の教室が見えると、私の心臓の鼓動も速くなった。

ああもう、落ち着け、私。

大丈夫だから。大丈夫だから、落ち着け、私。


ちゃんと、言うんだから。


不器用でも、下手でも、言うんだから。

きっと、大丈夫。

彼を、信じて。

私の大好きなひとを、信じて。


教室のドアの前に立つと、ゆっくりと深呼吸をした。

そして、何度も頭のなかでシミュレーションした順序を、確認する。