「………あ…え…と……」


動いて欲しい、唇。

もっとちゃんと、純くんに伝えなきゃいけないことがあるでしょう。

なのに、なのに。


やっぱり私の唇は、動いてくれないー……


純くんは私を見て、小さく目を見開いた。

そして眉を下げて、困ったように笑った。


「……ごめん。やっぱ、こんなときに言うのは駄目だよな。返事とか、期待してるわけじゃないから」


私の大好きな彼は、その綺麗な目を伏せて、眉を寄せて口を開いた。


「……ほんと、ごめん。忘れていいから」


…!

違う、違う!

違うの、そうじゃないの。


伝えたいのに、なんて言ったらいいのかわからない。