「色葉?」 ずっとそっちを見ていたからか、大和が不思議そうな顔をして私を呼んだ。 「あっ…ご、ごめん。なんでもない………」 大和が「なんかあったの」と言って、笑う。 私はかろうじて「なんもないよ」と笑い返すことに精一杯だった。 …怖い。 そう思ってしまう自分が情けなくて、仕方ない。 大和は何も悪くない。 誰も、悪くない。 仕方ないこと、仕方ないことだから… そう思うのに反して、蘇るのは中学の時のこと。 女の子の嫉妬の目。 一方的に向けられる、嫌悪の目。