私は「そんな大したことじゃないよ」と笑った。

けれど、ミオはさっきよりも、辛そうな、少し怒ったような顔をしていて。


「…理紗ちゃんたちと、弁当食べずにひとりでどっか行っててさ。なんか、あるんじゃないの?なんで隠すの?」

あ……

怒らせちゃったの、かな。


「か、隠してないよ。純くんが通りかかってくれてね、話を聞いてくれたから。もう、スッキリしちゃった」

だから大丈夫だよ、と言う。

けれど、ミオの表情は変わらなくて。


「…今日色葉が元気なかったこと、あたしちゃんと気づいてたんだから」


…震えた声。

久しぶりに見る、涙を溜めた彼女の瞳に、私は目を見開いた。


「…話してよ。なんで、なにも言ってくれないの?あたしは、色葉のこと大事だから…っ」


ミオの詰まった声が耳に響いた時、向こうから「松本さん」と私を呼ぶ声がした。


見ると、バザー委員の集まりで見た子が、手招きをしていた。