「え、えっと…中庭にいたよ」

「中庭?空き教室じゃなくて?…理紗ちゃんに聞いたら、一緒にご飯食べなかったって言うし」


すごく心配した、というミオ。

なんかよくわかんないけど、「ごめん」と謝る。

確かに、理紗ちゃんたちと食べなかったけど。

けど、そんな心配するようなことでもないよーな。


「…ゆ、裕也くんとは、どうだったの?楽しかった?」


てっきり、ご機嫌かと思っていたのに。

訊くと、ミオは一瞬悲しそうな顔をしたあと、何故か目を逸らした。

…えっ?

ど、どうしたの?良くないことでも、あったのかな。


「ミオ?」


不安になって顔をみると、ミオは綺麗な眉を下げていて。

…ミオ……?


見惚れるくらいのサラサラな黒髪を揺らした彼女は、そっと私の手を握る。