「…………ごめん」
目を見開いて純くんを見ると、下を向いて、やっぱり読めない表情だった。
…違う。
違うよ。
私は謝って欲しいんじゃなくて。
「……………っ」
純くんの腕のなかからでて、私は今思ってることを、精一杯大声で叫んだ。
「バカーーー!!」
そして純くんに背を向けて、私はあの四角い通路へと走った。
『バカ』なんて、我ながら幼稚な捨てゼリフだと思う。
けど、今の正直な気持ちだ。
ホントにそう思う。
ばか。
バカ。
馬鹿!
私は一度も振り返らず、資料室へ繋がる四角い通路を、今まで一番の速さで通った。
純くんの………
バカぁーーーー!



