…はぁ。

やっと、二階に上がれる。

私の後ろには、階段をあがる純くん。


………二人きり。

そう思うと、顔が熱くなってくる。

階段を上がりながら、前向いたままとりあえず、純くんに話しかけた。


「ご、ごめんね、お兄ちゃんが……いろいろ失礼なこと言ったよね」

「んや?楽しかったし。俺兄弟とかいねーから羨ましい」

あ、また。

顔は見えないけど、なんとなく声が寂しそうに感じた。

「あんなお兄ちゃんだけどね、いると楽しいよ」

「だろーな」

はは、と二人で笑った。


純くんが言った。

「………なぁ色葉」

「なに?」

振り返ると、私を見上げる純くん。


うわぁ。上目遣い。

純くんは立ち止まって、訊きにくそうに言った。


「あのさ、訊いていーのかわかんねぇけど…………お父さん、は?」


…………お父さん。

こんな風に訊いてくるってことは、大体勘付いてるんだろーなぁ。